近年、環境に配慮した「エコ住宅」が注目されているのをご存じでしょうか。環境に配慮した住宅を選ぶことは、環境保全だけでなく、経済的な選択でもあります。この記事では、そんなエコ住宅について、選ぶメリットや主要なタイプ、選ぶ際の注意点までまとめて解説します。注文住宅の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
エコ住宅とは
エコ住宅とは、住宅自体の性能を高めることで、冷暖房にかかるエネルギーを抑えながらも快適に過ごせる住宅を指します。具体的には、冬は暖かく夏は涼しい環境を保つために、気密性と断熱性を重視した設計が行われています。建物の壁や床、屋根、天井には断熱材が施され、外部からの冷気や熱の侵入を防ぐとともに、内部の温度変化も抑えることが可能です。また、建物の隙間を埋めることで気密性が向上し、冷暖房効率が高まるため、エアコンなどの電力消費も抑えられ、光熱費の削減につながります。
さらに、窓の断熱性も重要な要素となり、断熱性の低い窓を使用すると冬は熱が逃げ、夏は熱が入りやすくなるため、断熱性の高い窓を採用することで室内環境をより安定させる工夫がなされています。このように、建材や窓の性能に工夫を凝らし、環境負荷を抑えつつ快適な生活を実現する住宅がエコ住宅です。省エネルギー性と居住性を両立させた住宅設計の代表例と言えます。
エコ住宅の主要なタイプ
エコ住宅にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴や認定基準が設けられています。代表的なものとして、長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH住宅、LCCM住宅、性能向上計画認定住宅の5つです。これらはいずれも、省エネルギー性や環境負荷の低減、快適な居住性を実現することを目的としています。長期優良住宅
まず、長期優良住宅は、長期間にわたり安全で快適に暮らせる住宅として設計されている住宅です。耐震性や耐久性、省エネルギー性、バリアフリー性能などが一定の基準を満たす必要があります。国が定めた認定制度に基づき、新築一戸建てでは「耐震性」「耐久性能(劣化対策)」「維持管理・更新の容易性」「住戸面積」「省エネルギー性」「居住環境」「維持保全計画」の7項目を満たすことが求められます。住宅は建てた後の管理が重要であり、劣化対策や省エネルギー対策が十分に施されていることで、長く快適に住み続けることが可能です。認定炭素住宅
次に、認定低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えることを目的とした住宅です。認定には必須項目と選択項目があり、必須項目では断熱性や気密性の確保、一次エネルギー消費量の省エネ基準から10%以上の削減が求められます。選択項目は全8項目のうち2項目を満たす必要があり、例えば節水設備や太陽光発電、蓄電池の設置、木造住宅であることなどが含まれます。これにより、環境負荷を低く抑えながら、日常生活での省エネルギーを実現する住宅です。ZEH住宅
ZEH(ゼッチ)住宅は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、住宅の省エネ性能に加え、太陽光発電などでエネルギーを創り出し、使用するエネルギーを上回る量を生み出す住宅を指します。これにより、光熱費を抑えるだけでなく、余剰電力を電力会社に売ることも可能で、エネルギーの無駄をなくす仕組みが特徴です。LCCM住宅
さらに、LCCM住宅は、ライフサイクル全体での二酸化炭素排出量を抑える住宅です。建設から居住、解体に至るまでの一連のライフサイクルを通じてCO2排出量を抑制する点が特徴で、ZEH住宅の考え方をさらに広げたものといえます。気密性や断熱性の高い設計に加え、太陽光発電や蓄電池などの再生可能エネルギーを活用することで、住宅のライフサイクル全体で二酸化炭素の排出量をマイナスにすることを目指しています。性能向上計画認定住宅
最後に、性能向上計画認定住宅は、都道府県や市区町村が認定するもので、エネルギー消費性能が基準値を上回る住宅が対象です。気密性や断熱性が高く、省エネルギー設備を備えた住宅であることが条件となります。新築時には資金計画も含めたエネルギー消費性能の確保が重要であり、認定を受けると容積率を10%増加できる特例などのメリットもあります。エコ住宅を選ぶメリット
エコ住宅を選ぶメリットは多岐にわたり、光熱費の削減、快適な室内環境、災害への備え、補助金の活用などが挙げられます。光熱費削減につながる
まず、エコ住宅は高い断熱性と気密性を持つ設計となっており、冬は暖かく夏は涼しい快適な居住環境を提供します。これにより冷暖房に必要なエネルギーが最小限に抑えられ、家庭の光熱費削減につながります。さらに、太陽光発電を設置することで、家庭で消費する電力の一部またはほとんどを自家発電で賄うことが可能です。電力の余剰分は電力会社に売電でき、家計の補助となる場合もあります。電気料金の高騰が続く中、自家発電による電力確保は、経済的な負担軽減に大きく貢献します。一年中快適な室内環境を保てる
次に、エコ住宅は一年中快適な室内環境を保てる点も大きなメリットです。高い断熱性により住宅全体の温度差が少なく、寒冷地でもエアコン一台で室内を均一に暖めることが可能です。また、温度差による結露を防ぐため、カビやダニの発生を抑え、アレルギーリスクの軽減にもつながります。さらに、室内の寒暖差が小さいことで、暖かい場所から寒い場所へ移動した際に血圧が急上昇・急低下するヒートショックのリスクも減少します。災害時にも安心
さらに、災害時における安心感もエコ住宅の大きな特徴です。停電時でも、太陽光発電があれば自家発電が可能で、蓄電池と組み合わせることで数日間の生活を維持できる場合もあります。たとえば、容量7kWhの蓄電池を設置した4人家族では、1日程度の電力確保が可能で、太陽光発電との併用により2〜3日間の生活が可能となります。災害時において電力が確保できることは、スマートフォンなどの通信手段や情報収集にも直結するため、非常に重要です。補助金制度の恩恵を受けやすい
加えて、エコ住宅は補助金制度の恩恵を受けやすい点もメリットです。高性能な設備を備えた住宅は初期費用が高くなる傾向がありますが、ZEH住宅では「ZEH支援事業」「ZEH+支援事業」「次世代ZEH+(注文住宅)」「次世代HEMS実証事業」といった複数の補助金が用意されており、設備や注文住宅かどうかに応じて支援を受けられます。さらに「こどもエコすまい支援事業」では、18歳未満の子どもがいる家庭や、夫婦のどちらかが39歳以下の家庭を対象に、住宅購入やリフォーム費用の補助を受けられる仕組みもあります。申請は販売業者や工事事業者が代行して行うため、個人が手続きを負担する必要は少なく、対象となる家庭は活用する価値が高いでしょう。
エコ住宅の注意点
エコ住宅は快適で省エネルギー性に優れ、環境への配慮もされている住宅ですが、建築を検討する際にはいくつかのデメリットや注意点があります。建築費用の高さ
まず、建築費用の高さが挙げられます。エコ住宅では、断熱性や気密性を高めるための高性能な建材や設備、さらに太陽光発電システムなどが使用されます。これらは性能が高いほど価格も高額になるため、一般的な住宅と比べると初期費用が大きくなりやすいです。確かに、エコ住宅向けの補助金制度も存在しますが、これらは建築費全体の一部にしかならず、補助金を活用しても予算内で収まらない場合もあります。そのため、住宅に求める条件や希望の設備と、自身の予算とのバランスを慎重に検討する必要があります。
ハウスメーカーの選択肢が限られる
次に、ハウスメーカーの選択肢が限られる点も注意が必要です。エコ住宅は、省エネ基準や断熱性能、設備の条件など、多くの基準を満たす必要があります。そのため、すべてのハウスメーカーが対応できるわけではなく、エコ住宅の建築や補助金申請に対応できるメーカーは限られます。補助金を受け取るためには、エコ住宅の認定や申請手続きを行えるメーカーで建築する必要があるため、事前に検討しているハウスメーカーがエコ住宅に対応しているか、実績が豊富かどうかを確認することが重要です。